Bell412 L.A.COUNTY FIRE 800size 調整依頼
お客様のFさんから「Bell412完成したよ」と連絡があり
別件の要件もありましたので車を走らせ見に行きました。
完成してますね~Bell412!
到着後にFさんから
「やっぱり大きいのはいいね~」
「1フライトで満足感が高いよ」
「安定して飛ばしやすい」
と満足感いっぱいのコメントを聞きますと、こちらも嬉しくなります。
塗完で尚且つ市販品で、このクオリティー凄いです!
水平尾翼とフロントのワイヤーカッターが赤いのは
Fさんが姿勢を見やすいように塗られたようです。
早々、フライトチェックの為に飛ばして頂こうと思いましたが
Fさん・・・なんと3日前に右手を怪我してました・・・
何やら機械に手を巻き込まれたそうです・・・
巻き込まれた瞬間「右手が飛んだ・・・」と思われたのですが
幸いにも機械のベルトが空回りして助かりました。
しかし、骨にヒビが入っていると思いますが、かなり腫れてます・・・
という事で、こちらでフライトチェックをする事になり
各部の確認と送信機のチェックをしてフライト準備です。
メカ関係は
サーボ:ALIGNのBL815HとBL850H
ESC:Castle EDGE HV 160
モーター:850MX Brushless Motor(490KV)
ジャイロ:FUTABA CGY750
工房で制作していませんので慎重に起動していきます。
離陸時に震動してましたが浮かしてしまえば多少振動は減ります。
地上から30㎝~40㎝程度浮かし1分程度で下りしました。
理由として
確かに飛ばせますが安定はしていない。
テールの抑えが悪い。
CGY750のセッティングが出来ていない。
振動が収まらない。
送信機のセッティングが出来ていない。
と駄目だしばかりで申し訳ないのですが、これでは飛ばせません。
確かに飛ばせますが、快適に飛ばすことは出来ません。
Fさんは、スケールヘリ制作を何機も手掛けて来ていますし
ラジコンヘリコプター歴も非常に長いです。
Fさんは既に数フライトしており「安定している」と
感じていましたが、それはFさんの感覚として「安定している」
「振動もこんなもんだろう」という事です。
この「安定」と「振動」の度合や感覚は個々それぞれです。
しかし、HAJIME-FACTORYとして、これでは駄目です。
という事でBell412を預かり工房に持ち帰りました。
Bell412を早々、チェックしていきましたが多々問題点がありました。
問題点その1:ベルトの張り過ぎ
下の写真はトップキャビンを外した状態です。
この状態では分かりませんが下の写真を見ると・・・
モーターや回りに白い粉が付着しています。
これはメインギヤとモーターが接触しギヤの歯が削れた粉です。
機体内部全体に粉が回ってました。
下の写真はギヤの歯です。
歯の先端が削れており平になっているのが分かるでしょうか。
ここまで削れるとモーターへ接触はしていませんが
ギヤの歯が削れているという事はギヤ音が大きくなります。
これは、スーパースケールに付属しているベルトが
ROBAN社として推薦しているALIGN 750MXもしくは
同じモーターサイズを搭載に適したベルトです。
850MXは750MXに比べモーター径が大きく付属のベルトですと
殆ど無理やり取り付けないと搭載出来ません。
その為、ベルトがパンパンに張った状態になり
モーターにも負荷が掛かりすぎます。
※参考写真です。
ROBAN JAPANへは、HAJIMEで作成したベルトの資料を渡していますので
購入者には資料が入っていると思います。
問題点その2:ジャイロセッティング
Fさんはヘリ歴が長いので殆どフライバーの
エンジン機を飛ばしています。
ここ、数年はバーレスの電動ヘリを飛ばされるようになり
3軸ジャイロや電動に使用するメカ関係の事を
深くは理解されてませんでした。
その中で、セッティングしたCGY750はs-basの割り当て
ジャイロ感度、トリムなど正直、かなり駄目だしです。
また、ジャイロ側でサーボのニュートラルをトリムで
設定していましたが、これは推薦しません。
サーボホーンやリンケージで、しっかり設定を出して下さい。
ここでは、細かな内容は記載しませんが
CGY750のセッティングはある程度の知識が必要です。
ただ説明書を読んでも分からない事が多いと思います。
問題点その3:アンプ設定
FさんのアンプはCastle EDGE HV 160を搭載してます。
このCastle EDGE HV 160のデフォルトはエアプレーンモード
になっています。その為、ヘリの起動時に使用しるスロースタートに
なっていませんのでスロットリを上げると急に回転数が上がります。
Fさん「確かに急に回るな~と感じてたわ・・・」
気をつけてスロットルを上げれば
気にならない方は気にならないかもしれません・・・
と言うより、そういうもんだと思っている方もいるかも・・・
CastleアンプはCastleリンクというコードを使い
パソコンでアンプの設定を細かく変更しないと、そのヘリに
適した性能を発揮出来ません。
検索すれば多く出てきますので参考にして下さい。
問題点その4:テールサーボの取り付け位置
写真では分かりにくいと思いますがテールサーボが右に
取り付けられサーボホーンが外側についてます。
跳ね上げパーツのリンケージ取り付け位置が下になります。
という事はFさんの取り付け位置だとリンケージが
途中で歪んで取り付けられているという事になります。
トルクのあるテールサーボですので多少の歪みも関係なく
しっかり動きますが適正な取り付けではありません。
下の写真のようにリンケージの取り付けは真っ直ぐに
取り付けるのが適正な方法です。
問題その5:テールの取り付け
ここは説明がし難いのですが下の写真の○部分に
エポキシを流され固定されてます・・・
付属のスポンジでは多少グラついたのでテールを
エポキシで接着してしまってます。
これでは後からテールを抜く事も出来ませんし
固定の角度や位置の変更が出来ません。
ここが付属のスポンジでもグラつく場合は
必ず同じスポンジ等を加工し取り付けて下さい。
振動が出る場合は、固定位置の変更なども変えながら
テールの組み直しやローターのバランスなど
固定方法以外にも問題があるかもしれませんので
固定強度や固定位置だけでなく確認をして下さい。
また、この跳ね上げのパーツはプラ材ですので僅かにしなります。
その為エポキシで固定した時の角度によっては
跳ね上げパーツ内にあるギヤの角度が適正な角度よりズレ可能性
があります。それによりギヤの噛み合わせが悪くなり異音が出ます。
FさんのBell412はエポキシで固定されてますので
取り外す事が出来ずフライト姿勢によりテールにトルクが
掛かった場合、異音が多少でますが、このまま進めます。
問題その6:他の問題点
その他にもスケールヘリ制作において気を付ける事があります。
1、配線の取り回し
ジャイロや受信機などの配線は特に気を使ってください。
突っ張り過ぎているとコネクターが緩み誤作動につながります。
また、配線の取り回しはノイズを避けるように取り付ける必要があります。
2、組立精度
スーパースケールに限らず仮組されているヘッドや
フレームなどは再組立をしながら精度を保ち制作して下さい。
この時にベアリングの点検なども含めて組み立てていきます。
3、メカ配置
スケールヘリの種類によりメカ配置位置が限られています。
しかし、その中でもジャイロや受信機は出来るだけ配線や
ノイズが少ない位置に取り付けて下さい。
以上が、FさんのBell412を調整する時の問題点でした。
そしてフライト調整
一通りのセッティングと調整が終了しフライト調整です。
フライト調整時の動画
そして、調整がほぼ煮詰まった状態でのテストフライト
フライト姿勢により多少ギヤ音が大きいのですが
これは、先ほども記載したテールの異音とメインギヤ部分が
削れている事により通常よりはギヤ音が大きめです。
しかし、
Bell412 L.A.COUNTY FIRE 800size
カッコいいです!!
冒頭でも書きましたが
塗完で尚且つ市販品で、このクオリティー凄いです!
HAJIME-FACTORYから見て「おしいな~」という部分もありますが
それでも塗装完成ボディにリベットがあり専用設計の
マシンやヘッド、ローターそしてコックピット関係まで
全て揃っている市販品と言うのは凄いです。
Fさんから「フライト時間が5分程度」と聞いていましたが
各部の調整やセッティング、修正など全て完了での
フライト時間が8分でバッテリー残20%程度ですので
まずまずOKでしょう!5分と言うのは多分メカ関係に
負荷が掛かっていたのだと思います。
Fさん、もう少しで調整が完了しますので
早く手を治して待っていて下さい。
お客様からの依頼で制作したスーパースケールヘリは
700-800sizeで既に10機を超えますが
2枚ローターと4枚ローターではフライト感覚も違います。
そして現在も800sizeのスーパースケールヘリを制作中!